2010年1月29日金曜日

Silicon Bulk (シリコン結晶)


Siliconバルクの計算結果です。
波動関数は平面波展開、ノルム保存(TM)型の擬ポテンシャルを利用しています。

まず、全エネルギーの(平面波展開の)カットオフエネルギー依存性を調べます。エネルギーの原点は、10Ryの時の全エネルギーとしています。全エネルギーは80Ry程度でやっと1meVの変化に収束していますが、重要なのは構造ごとのエネルギー差の誤差なので、40Ryで計算しても問題は無いと思います。



次に、本計算条件での最適化格子定数(最もエネルギーの低くなる格子定数)のカットオフエネルギー依存性を見てみます。本来ならば指定した格子定数ごとの全エネルギー曲線を描き、固体の状態方程式(Murnaghanの状態方程式等)を使ってフィッティングを行うのですが、abinitというプログラムにはストレステンソルを計算して最適化格子定数を求める機能が付いています。今回はその機能を使って評価を行いました。図を見ると、カットオフエネルギーを変化させてもa0=5.4648Åでほぼ一定になっていることが分かります。
そこで、最適化格子定数をa0=5.4648Å、カットオフエネルギーを80Ry(常識的にはもっと低くて大丈夫)として以降の計算を行います。

実験値は5.43070Å(25℃)[1]であり、最適化格子定数は実験値+0.63%となっており両者はよく一致しています(一般的に交換相関項の取扱いにGGAを用いると格子定数は実験値より大きくなる)。

[1] R.W.G. Wyckoff, Crystal Structures. 2nd Ed. Vol. 1 (John Wiley & Sons, New York, London, 1963)

はじめに

第一原理基底状態計算を用いて得られたバルク結晶等の物性を資料として載せていきたいと思います。